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終末時代の背教を見分ける(1)欺きの時代

2023年9月20日

クリスチャンコモンズさんより転載

https://biblical.jp/discerning-endtime-apostasy_age-of-deception/

 

のシリーズでは、終末預言に見られる背教のパターンを確認し、現在キリスト教界で広まっている誤った教えを見分けていきます。今回はイントロダクションとして、終末時代が欺きの時代であることを聖書から見ていきます。

 

失われつつある聖書的世界観

2022年に米国で行われた調査によると、米国の牧師の過半数が聖書的な世界観を持っていないことが明らかになっています。世論調査会社バーナグループと共同で調査を行ったアリゾナクリスチャン大学の文化リサーチセンター(Cultural Research Center:CRC)は、次のように報告しています。

 

 全米のキリスト教牧師を対象とした新しい調査によると、牧師の過半数が聖書的世界観を持っていないことが明らかになった。実際に、聖書的世界観を持っているのは3分の1強(37%)で、過半数(62%)は混交宗教(シンクレティズム)として知られるハイブリッドな世界観を持っている。…
熟練のリサーチャーで、CRCのリサーチ・ディレクターでもあるジョージ・バーナは、「キリスト教会が文化に影響を与えている以上に、文化がアメリカの教会に影響を与えていることを示すさらなる証拠です」と説明している。
― Dr. Tracy F. Munsil, “New Study Shows Shocking Lack of Biblical Worldview Among American Pastors,” Arizona Christian University, 12 May 2022

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この報告書では、聖書的世界観を失っている具体例として、主任牧師の3分の1以上が次のように信じていると言われています。

  • 互いに愛し合っていると信じている未婚者同士の性的関係は、道徳的に容認される。
  • 道徳的な真理を決定するのは各個人であり、すべての人に適用される絶対的な道徳律はない。
  • 聖霊は生ける方ではなく、神の力、存在、純粋さの象徴である。
  • どの信仰を持つかよりも、信仰を持つことが重要である。
  • 輪廻転生の可能性はある。
  • 一般的によい人であるか、他の人のために十分に良い行いをする人は、天国に入ることができる。
  • 社会主義は資本主義よりも望ましい。
  • 財産所有権を認めることは、経済的不公正を助長する。
  • 聖書の妊娠中絶に関する教えは曖昧であるので、妊娠中絶に賛成する立場でも反対する立場でも、聖書的原則に基づいて説得力のある主張を展開することができる。
    ― Dr. Tracy F. Munsil, “Basic Biblical Beliefs Lacking Among Most Pastors in All U.S. Denominations, All Church Roles,” Arizona Chrisitian University, 30 Aug 2022

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Our Lord Himself warned His disciples seven times in the Olivet Discourse—which is His description of the end times—that there would be deceivers, false Christs, false teachers, and false prophets in the last days. That is an important reason we as God’s people should study the prophetic Word.


上から3つ目の「聖霊は象徴」という信仰は三位一体を否定するもので、キリスト教では異端とされてきたものです。5つ目の「輪廻転生」は、キリスト教とは無縁の考え方ですが、先ほどの引用にあったように、現代のキリスト教が「混交宗教」となっていることの一つの事例です。また、6つ目の「良い行いで天国に入ることができる」は、福音の土台であるキリストの十字架の意義を否定するものです。

また、先述のジョージ・バーナは、子どもと若者を教える牧師では12%しか聖書的世界観を持っていないという調査結果にも触れ、次のように語っています。

 

 調査で明らかになったことの中で特に気になることの一つは、ユース牧師の世界観であるとバーナは語る。…
「人間の世界観は主に13歳までに形成され、その後10代から20代にかけて洗練されていきます。そのため、世界観を作り上げるという観点から見ると、教会で最も重要な牧師は子どもと若者を教える牧師です」
― Dr. Tracy F. Munsil, “New Study Shows Shocking Lack of Biblical Worldview Among American Pastors,” Arizona Christian University, 12 May 2022

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聖書的世界観を持っているユース牧師が12%しかいないのであれば、教えられる子どもたちの中で聖書的世界観を持つことになる人はさらに少なくなることは必至です。

 

世界最大のキリスト教国で、キリスト教の宣教師を長年にわたって世界に送り出してきた米国がこの状態です。米国のキリスト教の影響を受ける国々や、キリスト教の衰退が著しいヨーロッパも同様の状況だと思われます。

 

終末時代は欺きの時代

上記の状況は、聖書預言と一致します。今のような終末時代には、教会の中で誤った教えがはびこり、キリスト教の正統的な信仰から離れていくことが聖書で預言されています。たとえば、1テモテ4:1では次のように言われています。

 

1  しかし、御霊が明らかに言われるように、後の時代になると、ある人たちは惑わす霊と悪霊の教えとに心を奪われ、信仰から離れるようになります。 

ここでいう「信仰から離れる」とは、「背教」と言い換えてもいいでしょう。キリスト教の「背教」には、

(1)キリスト教信仰を完全に放棄することだけでなく、

(2)聖書の重要な教理から離れ、異端の教えに転落することも含まれます。

(1)はわかりやすいですが、(2)は聖書をよく知らない人には見分けが難しい場合があります。ここに多くの「欺き」が働く余地があります。

 

 MEMO

今が終末時代であることの聖書的な根拠については、「聖書が預言するこれからの世界(1)今はどういう時代か」を参照してください。

 

不法の秘密はすでに働いている

終末時代の欺きについて、2テサロニケ2:9~11では次のように言われています。

 

9  不法の者は、サタンの働きによって到来し、あらゆる力、偽りのしるしと不思議、

 10  また、あらゆる悪の欺きをもって、滅びる者たちに臨みます。彼らが滅びるのは、自分を救う真理を愛をもって受け入れなかったからです。

 11  それで神は、惑わす力を送られ、彼らは偽りを信じるようになります。 

 

ここで「不法の者」とは反キリストを指しています。反キリストとは、神に反逆し、大患難時代(キリストが再臨する直前の7年間)に世界を支配する指導者のことです。この反キリストは、あらゆる悪の欺きをもって大患難時代の人々に臨みます。そして、「自分を救う真理」である聖書の福音を受け入れなかった人々は、欺きを信じ、滅びると言われています。

 

ただ、現在は大患難時代ではなく、反キリストもまだ登場していません。そのため、この聖句は厳密には現在には当てはまりません。しかし、この直前の2テサロニケ2:7で、次のように言われている点に注目する必要があります。

 

7  不法の秘密はすでに働いています。ただし、秘密であるのは、今引き止めている者が取り除かれる時までのことです。 

「引き止めている者」と言われているのは聖霊のことです。聖霊が内住するクリスチャンが携挙によって地上から取り去られることで、反キリストが自由に動き回れるようになり、世界の舞台に登場することになります。

 

ここで注目する必要があるのは、「不法の秘密はすでに働いている」と言われていることです。反キリストはまだ現れてはいませんが、パウロの時代から今に至るまで「不法の秘密」は働いています。

 

反キリストが現れる時代が近付いている今は、この働きが活発になっている時代と考えることができます。これは、終わりの時代に多くの人が惑わされることを預言した他の聖書預言(1テモテ4:1、マタイ24:11、2テモテ4:3~4など)とも一致する考え方です。

 

イエス・キリストの警告

オリーブ山の説教で、イエス・キリストは次のように警告しています(マタイ24:11、マタイ24:24)。

11  …偽預言者が大勢現れて、多くの人を惑わします。 
24  偽キリストたち、偽預言者たちが現れて、できれば選ばれた者たちをさえ惑わそうと、大きなしるしや不思議を行います。

 

終末時代には、偽預言者が大勢現れて多くの人を欺くという預言です。今が欺きの時代であるという時代認識がないと、偽預言者、偽教師の欺きを信じてしまうことになります。実際に、現在はさまざまな自称「預言者」がテレビやインターネットで偽預言を語って世間を惑わせています。来店した客に預言を語る「預言カフェ」が盛況なようですが、これも偽預言者の働きの一つです。

上記のオリーブ山の説教について、小説『レフト・ビハインド』シリーズの著者、ティム・ラヘイは次のように語っています。

 

私たちの主ご自身が、終末時代に関するオリーブ山の説教の中で7回も弟子たちに、終わりの日には人を欺く者、偽キリスト、偽教師、偽預言者が現れると警告しておられる。これが、私たち神の民が預言のみことばを学ぶべき重要な理由である。
― Tim LaHay, Bible Prophecy for Everyone (Harvest House Publishers, 2009), p.8

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終末預言は、信仰生活に役立たないと言われることがありますが、実用的なものです。終末預言が実用的であることの一つの例は、ティム・ラヘイが言うように、終末時代に現れる誤った教えを見抜く目を養うことができることです。

 

聖書的識別力の必要性

欺きがはびこる終末時代には、聖書的な識別力が欠かせません。エペソ4:13~15では、聖書的識別力はクリスチャンの霊的成長に欠かせないものであるとも言われています。

 

13  私たちはみな、神の御子に対する信仰と知識において一つとなり、一人の成熟した大人となって、キリストの満ち満ちた身丈にまで達するのです。 

14  こうして、私たちはもはや子どもではなく、人の悪巧みや人を欺く悪賢い策略から出た、どんな教えの風にも、吹き回されたり、もてあそばれたりすることがなく、

 15  むしろ、愛をもって真理を語り、あらゆる点において、かしらであるキリストに向かって成長するのです。

 

13節の「知識」は、原語のギリシャ語では「エピグノーシス」という単語です。この単語には「十分な識別力(full discernment)」という意味があります。この聖句から、クリスチャンの霊的成長には誤った教えを見抜き、真理を見分ける「識別力」が必要であることがわかります。もちろん、そうした識別力の土台となるのは聖書のみことばです。

誤った教えや偽教師、偽預言者から自分と周囲を守ることは、クリスチャンに期待されていることです。マルコ13章に記されているオリーブ山の説教では、数回にわたって欺かれないように注意するように言われています(マルコ13:5、9、23)。

 

5  それで、イエスは彼らに話し始められた。「人に惑わされないように気をつけなさい。 
9  あなたがたは用心していなさい。
23  あなたがたは、気をつけていなさい。

また、使徒パウロも、誤った終末論を信じていたテサロニケ教会の人々に、「どんな手段によっても、だれにもだまされてはいけません」(2テサロニケ2:3)と語っています。

 

実際に、現代のキリスト教界には誤った教えが次々に現れています。モルモン教エホバの証人統一教会といった異端はもちろんですが、近年は繁栄の神学、新使徒運動(NAR)など、それ以外にもさまざまな間違った教えが広がっています。しかし、聖書の終末預言を理解し、預言されている欺きのパターンを把握すれば、誤った教えを見抜くことができます。

 

牧師、説教者の役割

このような欺きの時代にあって、牧師、説教者の役割は特に重要です。みことばを教えて、誤った教えの風に吹き回されないように信徒を導く必要があるためです。

 

使徒20:26~28で、パウロはエペソ教会の長老たちに向けて次のように語っています。

 

26  ですから、今日この日、あなたがたに宣言します。私は、だれの血に対しても責任がありません。 
27  私は神のご計画のすべてを、余すところなくあなたがたに知らせたからです。 
28  あなたがたは自分自身と群れの全体に気を配りなさい。神がご自分の血をもって買い取られた神の教会を牧させるために、聖霊はあなたがたを群れの監督にお立てになったのです。 

パウロは「神のご計画のすべてを、余すところなくあなたがたに知らせた」と語っています。エペソの長老の前でこう語ったということは、あなた方も同じようにしなさいという意図が見え隠れします。現在は、終末預言を語る教会が少なくなっています。ただ、神のご計画をすべて知らせるには、語るメッセージに終末預言を含める必要があります。

このパウロが生涯の最後に書いた手紙が、テモテへの手紙第二です。このテモテへの手紙第二について、神学者のダニエル・ウォレスは次のように語っています。

私が数えたところ、この手紙の本文には27の明確な命令が与えられている。27の言葉で、パウロは牧師たちに何を重視すべきかを教えている。そのうちの18の命令、実に3分の2の命令は、みことばの働きに関係しているからだ。
― Daniel Wallace, “Crisis of the Word: A Message to Pastors or Would-be Pastors,” Conservative Theological Journal 1, no. 2 (August 1997): 108.

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まとめ

今は終末時代です。終末時代の特徴の一つは、欺きです。

この時代に聖書的識別力がないクリスチャンは、偽教師に惑わされ、たとえ一時的であっても背教の教会の一部となる可能性があります。マタイ24:24で「偽キリストたち、偽預言者たちが現れて、できれば選ばれた者たちをさえ惑わそうと…」と言われているとおりです。

次回以降は、具体的に誤った教えを取り上げて、終末論的に考察していきたいと思います。

参考資料

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クリスチャンコモンズさんより転載終了

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